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※物語の都合上、Rな描写があります。元々は隠しとなっていましたが、物語の中の一部なので、それもどうかと思っていた事と、現在のサイトでは隠しがないので、そのままUPしています。
不快だと思われる方は、そのまま次のページへと進んで下さい。

 

『櫻回廊 10 〜罪業〜』

―――ユルセナイ

まるで全ての理性を失ったかのように壬生にはもう何も考えられなかった。
そのまま龍麻の躯をソファーに縫いつけるようにしてキスをした。
驚いた龍麻が嫌だと、手足を暴れさせる。
「み、壬生!!!・・・ちょ、ちょっとまっっ」
問答無用で龍麻の顎を捕らえると指先に力を入れて無理矢理口を開かせて口内に舌を進入させる。
「!っんんっっっ!!んっ!!!!」
ドンドンと壬生の背中を龍麻の手が叩く。
うるさいその手を壬生は一つに纏めると龍麻の頭の上で一つに纏めて押さえつける。
「っはぁあっ・・・」
深く深く口づけて。何度も思う様、蹂躙する。
舌を絡めて・・・強く吸い上げては何度も舌先で嘗めあげるようにして刺激を与える。
自分の躯の下で龍麻の躯がびくんと反応する。
「やっ嫌だっ!!み、壬生!」
「・・・・・・」
そのまま唇をずらして首筋から胸元へと降りていく。
「なんで・・・だよ!そんなに俺が嫌いなのかよ!だから・・・こんな酷いことするのか??」
やっと自由になった口で龍麻は訴えた。
「僕が?僕が君をなんだって?嫌い?・・・はは・・・僕が君を嫌えるわけがない。嫌える位ならっ!」
「壬・・生・・・?」
壬生はそのまま一つ手で龍麻の両腕を押さえたまま器用に龍麻の服を脱がし始めた。釦を外して袖を抜かずそのまま脱げないようにしながら両腕を縛り上げる。
「な、何!!」
「僕は知っていたよ。」
「?」
どこか狂気を帯びた瞳で壬生に見つめられた龍麻はその癖いつにない色気を見せる壬生にゾクリと体を震わせた。
壬生の細く長い指が龍麻の胸の上をそうっと撫でる。その胸は・・・男にしてはふくらみのある・・・不自然さを持っていた。だが、壬生にとってはそんなことはどうでも良くて。自分を誘う胸の赤く色付いた蕾に口付けてちろりと舌先で嘗めあげた。
「あっ」
「君が女だったことも。両性具有も・・・何もかも・・・」
甘い声を上げる龍麻に壬生はそっと目を細めるとそのまま何度も転がすように舌先で弄っては時折噛んだり、吸い上げたりした。
「んっ・・・」
鼻に掛かったような甘い吐息が・・・一生懸命声を抑えようとする龍麻の口から零れ落ちる。
胸から脇をそろりと撫でながら、龍麻の下肢へと手を伸ばす。
ベルトを外す音が響く。
「み、壬生!!駄目っ!!」
「何が?どうして??」
「どうしてって・・・」
全く引く気のない壬生に龍麻の方が困惑して瞳を揺らす。

好きなのだ。
たとへ何がどうであろうと。
どうされようと。
好きで・・・
だから正直に躯は反応してしまう。
嫌だった。
こんな形なのは。
それでも尚・・・
完全に拒絶することが出来ない―――

そんな龍麻を翻弄するように壬生の手は動き続ける。
そろりと内股を撫で上げられて、びくりと背が反る。
少し腰が浮いたその時に丁度タイミングを計ったかのようにズボンを脱がされた。そのまま一緒に下着をも脱ぎ取られて。
「龍麻・・・」
既に反応している自分自身に壬生の指が絡みつく。
「ああっっ」
緩く壬生の指がソレを掴んで人差し指で先端からくびれの所を何度も擦りあげられる。
「・・・はぁっ、ああ・・・み、壬生・・・・や、ぁんっ!」
龍麻は躯が痺れたようになって力が入らない。
壬生の与える刺激に身を捩らせるようにして堪えることしかできない。

「なぜ?どうして?」
壬生が呟いてきゅっと手に力を込めると龍麻は苦痛にうっとうめいた。
「み・・ぶぅ・・・」
そのまま手を上下に動かして龍麻のソレを愛撫する。ソレは自分から滴を零し始めて余計にその壬生の動きを良くさせて龍麻の意識を混乱させる。
「はぁ・・・んっ」
クチュクチュと音を立てる程、濡れ始めたソレを壬生は上下に擦りあげながら、その先端にちゅっとキスをした。
「・・・っぁあああっっ!!」
龍麻は涙目になって自分の下肢へと顔を埋める壬生の頭を見ながらそのあまりの気持ちよさに己自身の欲望を吐き出していた。
己のそれに・・・触れているのは壬生の繊細で綺麗な指。今自分に与えられている快感は壬生の指が舌が眼差しが龍麻の躯から引き出したもので。そう想うだけで。自分の視界で見えてしまうから、感じてしまうから。自分自身に彼の唇が触れたその瞬間既に龍麻の精神が悲鳴を上げて。
躯はそれに引きずられていた。

壬生は己の顔についたソレを指先で器用に拭うとそっと龍麻の目を見ながらソレを嘗めあげる。
「理由を君が聞くの?」
「・・・・・・」
荒い吐息の中から龍麻は壬生を見上げる。
壬生が自分の吐き出したモノを指先に舌を這わせるようにして嘗めあげるのを見て再びからだが熱くなるのを感じてぎゅっと目を閉じた。

どうして・・・こんな事に?なんで?

そのまま壬生は顔を近づけると再び龍麻に深く口付けた。
「んっ・・・」
飲み込みきれない滴が顎を伝って流れ落ちる。
「ぁあっっ!」
キスされて塞がれた口の中で龍麻は再び悦びの声を上げた。
壬生の手は龍麻の胸の飾りを再び嬲るとそのまま躯のラインを辿るように手を這わせて下に移動させる。そして再びソレを握りしめて上下に動かした。と同時にもう片方の手がもう一つ濡れて光る女性である証のソコに指を差し入れた。

びくんと躯を大きく龍麻は引きつらせるようにして顔を顰める。
唇が移動して堅くとがった胸のソレを含んでは舌で転がしている。
下肢では欲望にそそり立った龍麻のソレを上下に扱きながら、もう片方は・・・そのぬめりに助けられるようにしてスルリと内部に収められた指が動いていて龍麻の意識をかき回す。

「君が化け物?人間じゃない?良くそんなことをっっ!!!」
ユルセナイよ、と小さく呟いて壬生は密を零す秘部に指を2本差し入れて内部を擦りあげる。頭をそっと再び下げると滴を零して居る龍麻のそれにそっと舌を這わせた後、口の中に含んで・・・上下に動かし始めた。
「ああっっ!あっ、あぁっ・・・・み、壬生っっ・・・んっ、はぁんっ!!」
既に過ぎる快楽に意識の殆ど残っていない龍麻は甘やかな喘ぎをしては物欲しげに唇を何度も嘗める。その度に赤い舌がチラリチラリと覗いては壬生の欲を煽る。

「君は君だ・・・どんなにしても彼女が戻らないように・・・君は普通の人間でしかあり得ないっっ!それ以外など・・・」
―――認められるわけがない。
唇を離して。指を引き抜いて。
無意識のうちに物足りなさそうに自分に向ける龍麻の眼差しに促されるように自分の欲を十分に濡れた彼の秘部に押し当てて。
一気に貫く。
「あああっっっ!」
痛みに反り返った龍麻の腰を抱いて、何度も深く浅く突き上げる。
切なく頭上で手を開いたり閉じたりしている龍麻に壬生はやっと服の戒めを解く。
何度か突き上げられて。とろけるほどの快楽を見いだして龍麻の腰が揺れ始める。解放された龍麻の手は自然と壬生の背中に回されてそっと傷を作る。
「あっ、あっ・・・んっ・・・ぁんっっ、あっ・・・」
断続的に壬生の動きにあわせて吐き出される龍麻の声が段々と切羽詰まったモノになり、壬生の動きも次第に早く余裕のないモノになる。
「くぅっっ・・・」
認められるわけがなかった。自分の愛した人。彼女が選んだ道。彼女は真っ直ぐな目をして言ったのだ。自分は選んだのだと。色々なことを承知の上で、彼女は決心をした。己自身の<人生>全てを掛けてまで。捨ててまで!!
なのに・・・龍麻。君にだけはソレを言うのを許さない。
例え他の誰かが君をどうこういうことがあっても。ソレを君自身が認めることだけは・・・許せない。
なら、全てを捨てた桜はどうなる?
彼女はもう戻ってこない。
龍麻。君は桜の決断を否定するのか?
こうでなければ良かったと??

「ああっっ!!!!」
一際高い声があがって。二人同時に果てた。
そのままの格好で壬生は龍麻に覆い被さるとその耳元で泣くように告げた。
「知っていた。そして・・・愛していた・・・彼女を・・・」

荒い呼吸の中で。龍麻は朦朧とした意識の中で聞いた。
なんのことだろうか、と。
だが、混濁した意識ははっきりとした答えを出すこともなく闇の中へと沈み込んでいった。

―・◆・―

壬生は意識を失った龍麻から離れると自分の顔に手を当てた。
「僕は・・・何を??」
激情の過ぎ去った今、どうしようもない罪の意識だけが壬生を襲う。
龍麻は覚えていない。
仕方ないではないか。
彼は桜ではない。
なのに。
覚えていない彼を攻めるようにして抱いた。
今現在の【龍麻】を彼自身が否定することが許せなくて。
それじゃぁ、【桜】はどうなる?と
既に桜は失われていて、現在生きているのは龍麻だと言うのに・・・自分は既に居ない人間の為に龍麻を傷つけて、何を強いた?何をした?

己の愚かさ加減に嗤いが漏れる。
「はは、はははは・・・」
目の上に当てた手の下から・・・涙が零れ落ちる。
「僕は・・・なんて愚かなんだろう。」
誰も答えるモノのない部屋の中で壬生は一人ただ嗤い続けた。

砕けたのは何?
零れたのは何?
広がったのは何?

危険だと、分かっていたのに。
どうしても・・・自分には龍麻を突き放すことが出来なかった。
傷つけることが分かっているのに。龍麻の後ろに桜の影を見ながら・・・必ず傷つけてしまうことが分かっているのに。

―――手放せない。

薄暗がりの中で、ぽつんと玄関前に佇む彼を見たあの時に。自分の中に芽生えた欲。
桜ではないと知りながら求めずに入られなかった、あの時から全ては運命づけられていたのか。
だから苛ついていたのだ・・・と今更ながらに思う。
どこか頼りなげに儚げに立つ龍麻に煽られて。それに気づかずに・・・僕は・・・・・・自分の気持ちを持てあまして苛ついていたのか。

「本当に情けないな。・・・済まない、龍麻。」

意識のない龍麻をそっと見遣りその髪に触れようとして手を止めた。
自分に・・・触れる資格などあるはずもない・・・

何故・・・僕は君に出逢ってしまったのだろう。
本当に桜、君との出逢いは突然で、早すぎた。
そして龍麻、君との出逢いは突然で、遅すぎた。
最初から龍麻と出逢っていれば・・・こんな事は無かったのだろう。
桜とだけ出逢っていれば、龍麻に逢わなければ・・・こんな事は無かったのだろう。

桜との出逢いを後悔したくはない。
龍麻との出逢いも後悔したくはない。

それでも、結局の所、自分は桜の身代わりに龍麻を抱いたのか。
そう思うと真実己の矮小さに嫌気を覚える。

―――罪・・・

犯されるべくして犯された・・・
僕はどうやってソレを償えばいいのだろう。